t-sato

ようこそ管理人の新作(既に旧作)
『屋台シェフ里一郎』のページへ。

このページは02.06.06にアップしました。

sato-3

いきなり重い画面で済みません。これは予告カット用イラストですが、
「主人公の全身像と敵キャラを描く様に」と言わた通りに描いたのに、
実際には他の漫画のタイトルや絵が上に幾つも重なって使われた為に、
主人公の持っている帽子やフライパンが隠されてしまい、なに漫画か 
わからない予告カットになってしまいました。くやしいので全体像を、
ここに載せる事にしました。なお、ここから先は管理人の新作漫画を、
読んだものとして進めて行きます。読んでいない人にはとても退屈な 
ページになるかと思いますがご了承下さい。それではお読み下さい。 


sato-2 皆様、長らくお待たせしました。
先日、管理人がほぼ1年半振りに
新作漫画を発表いたしました。 
よってこのページを更新する事が
出来ます。と言っても6回だけの
短期集中連載と言うかたちでした
ので既に連載は終了しています。
つまりこのページは新作のページ
と同時に旧作のページをも兼ねて
いる事になります。そんなことは
どうでも良いですね。それでは、
管理人の新作のページをどうぞ。
とっても重いので御注意を!! 

左のイラストは少年チャンピオン13号に
掲載されたモノです。何だかこのMMHの
他のイラストとは全然別物ですね(笑)。
ちなみに元のイラストはB5の紙面一杯に
描きましたが、使われた大きさは5cm位
でした。恐らくこの作品はコミックスには
なりませんので、もし雑誌を買って読んだ
人は切り抜いて大事に取っておくように。
将来どんな価値が付くか解りませんよ。 
いや、別に価値が上がるとは一言も言って
ませんからね。管理人からでした。   


(1)初めに読み切りありき。

2002年9月、管理人は当時担当だったY山さんと『ウキョウ』の次回作の打ち合わせを行っていた。
管理人は内心ゴルフ漫画を描きたかったのだが、Y山さんからゴルフに関して「昔、無理矢理誘われて
散々な目にあった悲惨な思い出がある」という話を聞かされていた為、その事は口に出せなかった。 
そして、お互いに知らないスポーツを調べてみるという無謀な話になり、テニスを題材に何か考えよう
という事で意見が一致した。この時点ではまだ『屋台シェフ里一郎』の屋台の名も話には出なかった。

10月になり、管理人はテニス漫画のキャラクター設定と1話目のシナリオを手にいつも打ち合わせに
使っている店に出向いた。しかし、どうもY山さんはテニスについて調べている様子は見えなかった。
「長引きそうだな……」と管理人は考えつつ手にしたモノをY山さんに渡した。それからしばらくの間
Y山さんから連絡は無かった。そして10月も終わろうとした頃、突然Y山さんから電話があった。 

「この年末に増刊号が出るんだけど、そこに何か読み切り作品を載せないかという話があるんだけど、
やってみない?」という、あきらかに今までとは違うトーンで打ち合わせになった。どうやらテニスは
上手く行かなくて違う題材を見つけたようだ。「やっても良いですけど、何かネタはあるんですか?」
管理人の質問にY山さんは待ってましたとばかりに「料理漫画ってのはどうかなぁ?」と切り出した。
この時点で、ようやく管理人の次回作のおぼろげな姿が見えて来ました。管理人自身も昔、うどん屋で
バイト経験があるし専業主夫として毎日の料理を作っているので料理漫画に抵抗はありませんでした。

しかし実際に描くまでにまさかこんなにも長い間かかるとは思いもよりませんでした。       



(2)年内に掲載決定。

前回の打ち合わせで料理漫画の読み切りを描こう、という事は決まりましたが果してどのような作品に
するかという事を決めなければなりません。しかしここでもY山さんがアイディアを持っていました。
「屋台の洋食屋ってのがあると聞いたんだけど、そう言うのはどうかな?」というネタを出して来たの
です。管理人は甘いものが好きなのでパティシエ(デザート専用のシェフ)の話を考えていたのですが
担当さんがここまで具体的なイメージを持っている場合はそれを生かした方が賢明です。そこで屋台の
洋食屋で話を進めて行きました。屋台からイメージ出来るもの洋食屋でイメージ出来るものをお互いに
出しあって話の骨格を決めて行くのです。これで『屋台』というコンセプトは固まりました。    

主人公はやはり少年雑誌なので中学生くらいが良いかな、というのが管理人の考えでしたがY山さんは
別に少年にする必要は無い、という考えでしたので間を取って高校生くらいになりました。これで屋台
を舞台にして高校生の主人公が料理を作るという物語の骨格が決まりました。そして高校生の主人公が
なぜ一人で屋台にいるのか、という疑問に答える為父親は船に乗っているという設定になりました。 

こうしてその主人公を使って取りあえず40ページの読み切り用のネームを書く事になりました。その
頃はまだ管理人はパソコンを購入したものの、まだこのMMHも立ち上げていませんでしたので時間が
十分あったのですぐにネームは完成しました。この時書いた読み切りのネームが『屋台シェフ里一郎』
の基本となりました。その後2度程の手直しを経て担当のY山さんは「じゃあ、上の人に見てもらって
どうするか聞いてみよう」という事になりました。この時点ではこの漫画は仮のタイトルと仮の主人公
でした。その時のタイトルは『ビストロ屋台』、主人公の名前は『佐藤一郎』でした。       

担当さんが上司の指示を仰いだところ「全体の流れはいいから、料理の情報をもっと増やそう」という
事になりました。しかしそうすると40ページ程度の読み切りでは内容が入り切れません。すでに年末
の増刊号に載せる為にはギリギリのスケジュールになっていました。この事も相談すると「増刊号用の
読み切りじゃ無く、本誌用の短期集中連載の形にすれば良い。4回ぐらいの」と言う事になり編集長に
掛け合う事になったそうです。管理人はしばし連絡を待ちました。そして、今年もあと僅かという時に
担当さんから「短期集中連載の形で掲載が決まったよ。ただし、掲載時期はまだ未定だけど」という話
を聞いてホッとしました。ようやく仕事が決まったとクリスマスには奥様と祝杯をあげたものです。 

しかしこの『掲載時期が未定』と言うのが新たな問題だったのでした。



(3)編集長代理。

Y山さんの相談した上司というのは編集長代理という肩書きを持つ人でした(ここからはI代理という
ことにします)。年内最後の打ち合わせでY山さんにI代理を紹介してもらいました。I代理は今回の
漫画は読み切りにするのには惜しい。なんとか短期集中連載で発表してから週間連載にして行きたい。
その為には料理のうんちくがもっと必要だ。そこでフードコーディネーターに付いてもらいアイディア
を出してもらった方が良い。という感じで盛り上がっていたので、管理人としては少し自分の書きたい
モノと方向性がずれて行くような気はしましたが、商業誌で作品を発表するからには多少の妥協は必要
です。それにY山さんもI代理と意見が一致しているみたいなのであまり空気を壊したくありません。
せっかく決まった仕事だと思っていましたから、そこで一言だけ意見を言いました。        

「あの〜、これだけは書きたく無いセリフがあります。それは『究極の◯◯!!』とか言う感じの使い
古されたフレーズなんですが……」その旨は伝わったみたいでしたので打ち合わせは終了しました。 




(4)フードコーディネーター。

さて新年になり、しばらくしてからフードコーディネーターさんとの打ち合わせがありました。管理人
とY山さんとI代理の3人でフードコーディネーターさん(長いのでFさんにします)のお宅に伺い、
実際に料理を作ってもらいそれを試食して打ち合わせしました。この時すでに、オムライスをテーマに
する事は決まっていたのですが、ライバルのシェフのオムライスのグレードを上げる事と主人公の作る
オムライスに個性を持たせることが狙いでしたので、ひとり平均全卵を5個程食べて打ち合わせをした
事を覚えています。管理人はこの時はダイエットをしていませんでしたので別に平気でしたが担当さん
達は辛かっただろうと思います。しかし苦労(?)のかいあってか、オムライスのアイディアはこれで
ほぼ決定しました。                                     

この時教えてもらった事で使わせてもらったアイディアは、2話目に出て来たオムレツの作り方です。
『卵をフライパンで混ぜる時のちょっとした違いで完成したオムレツには雲泥の差が出る』というネタ
でしたが、実際はFさんも違いがわかる程上手くは作れないと言う事でした。そしてライバルのシェフ
の『卵にトリュフの香りだけををつけさせて作るオムライス』もFさんが考えてくれましたが、実際は
そんな勿体無い事はしないで、トリュフがあったら細かく刻んでオムレツに入れるそうです。その方が
手っ取り早いですからね。主人公の『オムライスを丼に入れる』というアイディアは管理人が当初から
考えていましたが、和風の味付けにするのはFさんがアレンジしてくれました。実際に塩、コショウ、
醤油の味付けで、長ネギだけを具に使いオムライスを作ってもらいましたがこれは美味しかったです。

でも良く考えてみれば『卵のたっぷり入ったチャーハン』の味でした。正に庶民的オムライスでした。



(5)待ちわびて、夏……。

その後管理人は40ページの読み切りを膨らます作業に取りかかりました。どうやらI代理は料理漫画
を以前も手掛けた事があり、うんちくを入れる事が大好きでした。そしてFさんの意見も取り入れると
話は膨らんで本当に20ページ4本のネームになってしまいました。管理人はこれくらいで十分だろう
これ以上膨らませると主人公のキャラクターがどんどん希薄になり単なる料理情報漫画になってしまう
と考えましたが、編集さん達の意見は管理人とは異なるものでした。なんと二人とももっとうんちくを
入れたがったのでした。さらにFさんに4話になったネームを見せると「まだまだアイディアがある。
卵料理だけで10週は作れるわ」という驚きの反応が帰って来ました。              

管理人のネームの修正作業は続きました。やがて季節は移り春になりました。ネームのページ数は更に
増えて行き6話から、7話、そして最大8話にまで膨らんでしまいました。この頃は打ち合わせの度に
Y山さんから「どうせ載る事は決まったんだから何処かへ取材に行きましょうか?」と言われましたが
実際のところはいつ頃掲載されるかは相変わらず未定のままでした。更に管理人がネームを書いてから
Y山さんがそれをI代理に見せて、さらにFさんに見せて打ち合わせをして意見を聞き、ようやくY山
さんに戻って来たものをもう一度管理人と見合わせて打ち合わせをする。という手間のかかるやり方を
しているので時間だけはどんどん過ぎて行き、ゴールデンウイークになってしまいました。     

さすがにこの頃になると8話に膨らんだネームの中で見返すところも無く、Y山さんの口からも掲載の
時期が決まらない事への焦りが出始めました。管理人はその頃は既にボディビルのコンテストの準備に
入っていたのである意味では掲載時期がコンテストの終了まで伸びても良いかな、という感じで他人事
の様になって来ました。そして本当にコンテストが終了してもこの漫画の掲載は決まりませんでした。

相次ぐ故障のため秋のコンテストは見送りました。季節は夏真っ盛りでした。



(6)夏が過ぎ……、やがて秋。

夏のある暑い日、管理人とY山さんとI代理とFさんの4人は青山にある会員制のフィットネス私設の
レストランに集まりました。実は『屋台シェフ里一郎』の中で「全てに卵を使ったフルコース」という
ネタがありまして(結果的に削りましたが)その料理をFさんのお知り合いのフランス料理のシェフに
実際に作ってもらうと言う事で、管理人も呼ばれたのです。いちおう食費は編集部持ちということだし
管理人もすでにコンテストの減量は終わっているので食事自体は大変美味しく頂きました。その食後の
席上でFさんが「ところで、この漫画何時本に載るのかしら?」という質問をする迄は……。    

どうやら二人の編集さん達も正直お手上げの様子が見受けられました。この期に及んで未だ掲載時期が
ハッキリしないのです。どうやらこの時の編集長は取りあえずネームはOK、ただし掲載時期は未定と
言う癖があったようで、管理人も他にも数多くの漫画家さんが「ウエイティング」というか「控え」と
いうか「飼い殺し」状態にあったようです。この食事会の後、ネームの「卵を使ったフルコース」部分
を修正する打ち合わせは何度か行いました。しかし夏が終わる頃にはそれも済んでしまい、管理人には
本当にする事が無くなってしまいました。このMMHを作ろうと決心したのがちょうどこの頃でした。

秋になって涼しくなりましたが管理人の仕事には一向に変化がありません。すでに打ち合わせの電話も
かかって来なくなりました。もうこの時には管理人はほとんど料理漫画の事は忘れて、HP作りと肩の
治療とリハビリのトレーニングに没頭していました。知り合いにもメールで「誕生日の12月1日には
HPをアップする」等と書いて送りました。午前4時に起きる習慣が身に付いたのもこの頃です。夜は
パソコンがインターネットに繋がるのに時間が掛りますが午前4時を過ぎると随分と空きますからね。
こうしてもう管理人の料理漫画は完全に「お蔵入り」になったと思っていました。         

この頃ジムでよく会う人に「ご職業は?」と聞かれると返答に困りました(笑)。
今なら管理人は笑ってこう答えます「自称漫画家そして専業主夫です!」と。  




(7)突然の異動。

秋も深まりを見せる11月の末になって久し振りに担当のY山さんから電話がありました。何の話かと
思いきや「来月から◯リンセスへの異動が決まってね、そこで新しい担当に引き継ぎをしたいんだ」と
いうことで突然の担当さんの異動の連絡でした。ただ、管理人は過去何度か経験していることですし、
もう料理漫画は無いと思っていましたので動揺は全くありませんでした。という感じで11月の最後に
Y山さんI代理(この人も異動することになりました)ともう一人編集さんの3人と管理人とで仕事の
引き継ぎの打ち合わせを行いました。新しい担当編集者はM岡さん、というY山さんの後輩でした。 

その引き継ぎも突然決まったもので、M岡さんも「いきなりY山さんにあとを継ぐ様に言われたけれど
まだ全然料理漫画のネームも見ていないので本格的な打ち合わせはもう少し後でお願いします」と言う
訳で本当に顔を合わせただけの引き継ぎでした。このような形で引き継がれた場合、十中八九は前作は
完全なボツか、最悪はその出版社とは縁が切れるものです。管理人もその覚悟でした。「そうか、ここ
ともお別れか。次の出版社を捜さなくちゃ……、けど取りあえずHPのアップが先決だ」という感じで
12月を迎えました。そしてMMHは12月1日に無事アップの運びとなりました。        

ただし、編集長も新しい人に変わると言うことを聞きました。
結果的にはこの事がけっこう大きかったりするのですが……。




(8)年越し前の打ち合わせ。

ホームページを立ち上げてから管理人は日記やら更新やらで結構忙しくなりました。しかも肩の状態が
回復してきたのでトレーニングもガンガン行えるようになり、12月は結構快適な日々でした。そして
新しい担当さんからは何の連絡もありませんでした。管理人は既に来年からは別の出版社に持ち込んで
仕事をしようと決めていましたが、出版社を移る前に断りの電話くらいは入れておこうと思い編集部へ
電話をかけました。するとM岡さんが「明日あたり打ち合わせをしたいんですが?」と言いました。 

次の日、引き継ぎから約1ヶ月振りに打ち合わせになりました。M岡さんは「連絡が遅れた事をお詫び
します。なにしろ8本のネームをすべて通して読むのは大変でして……」という理由を述べ始めた。 
確かにあの量のネームを本当に最初から見直して行くと大変な手間だとは思う。「それから、ネームを
新しい編集長に見せたのですが、僕と同じ意見でした。最初の4話目までは読んでいて疲れる展開だが
後半の4話、勝負に入ってからは面白かった、と言ってました。だから僕もなんとか載せる方向で話を
進めて行きたいと思っています」というM岡さんの積極的な意見に管理人は正直驚きました。    

管理人としてはてっきり別の話の打ち合わせをするのかなと思っていたので、長い間料理漫画のことは
忘れていました。自分であらためてネームを見直して「こんな話書いたっけ?」という感じでした。 
しかし本当に載せる方向で考えるなら管理人にも考えがあったので思いきって言ってみました。   
「この漫画の8話というのは中途半端です。本当に載せるのであれば、短くして短期集中連載にするか
もう一度キャラクターを練り直して新たに連載漫画として考えるかをハッキリさせて下さい」。   
M岡さんも管理人の意見に同意してくれたみたいで「もう一度編集長と話してみる」と言う事で年越し
前の打ち合わせは終了しました。そして2〜3日後、再びM岡さんから電話がありました。     

この頃は本当にHPを立ち上げたばかりで忙しかった記憶があります。
けれど年が開けてからもっと忙しくなるとは思ってもいなかった……。




(9)取りあえず減らしましょう。

年も暮れかかった頃、本当に今年最後の打ち合わせとなりました。M岡さんの話では新しい編集長とは
とてもエネルギッシュな人で、前編集長が溜めに溜めていた『掲載時期未定のOKネーム』約30本を
全て目を通して、そのほとんどをボツにしてしまったそうです。そんな中管理人の料理漫画のネームは
後半の料理勝負は面白いので、とにかく雑誌には載せてみたい。けれども前半の4話はいただけない。
そこで前半4話を2話に縮小して全6話という形にしてはどうかな、という話になったようでした。 

管理人はそれを聞いて安心しました。もう一度キャラクターを練り直せば、時間が幾らかかるか見当も
つきませんが、前半を縮めれば良いだけなら後半はまるまる生かせます。とにかく早くこの料理漫画を
片付けて次の作品を考えたかったので、前半4話を削る事になんのためらいもありませんでした。  
「取りあえず……、何処から減らしましょうか?」というM岡さんの申し訳なさそうな言葉に管理人は
喜々として答えました「それじゃ、2話目のこの部分と、3話目のここ。そして4話目のここを削れば
3話目で料理勝負に入る事が出来ます」。こうして6話の短期集中連載の形が出来上がりました。  

「それじゃ年が明けたら1話目のネームをファックスしますので、よろしく」ということで年内の打ち
合わせは終了しました。それ程大きな手直しは無かったのですが実は当初のネームでは里一郎が屋台で
最初に作る料理はもともとオムレツだったのですがFさんの意向で『キャベツ入りメンチカツ』に変更
されていました。そこを管理人はもう一度オムレツに戻すことを提案しました。全編卵料理にした方が
印象深いだろうと考えたからです。この考えがFさんにどう伝わるかが心配でしたが……。     

でもこの時はまだのんびりした年末年始を過ごせました。そして年が開けて……。




(10)いきなりの短期集中連載。

新年最初の打ち合わせがありました。その時M岡さんが何か言いた気な神妙な顔をしていました。  
「どうかしたのですか?」管理人の質問にM岡さんは「昨日、編集長に言われたんだけれど。この漫画
12号から始めることが出来ますか?」と答えました。「………!」管理人が黙っているとM岡さんは
「今、台割が9号まで出来ています。12号からだと1話目の入稿は2月の頭の月曜日になります」。
「実は13号から『◯安鉄筋家族』が1ヶ月休んでリニューアルするんです。その間に何か埋め合わせ
できる短期集中の作品ということで、この漫画が選ばれたんです。どうです、始められますか?」。 
という情況説明をしてくれました。しかし管理人はその時はとても無理だと思いました。      

「あの〜、まだ1話目のネームの直しも出来ていないので即答は出来ません。せめて1話目のネームが
出来てから、まだ時間があればお引き受けします」と答えることにしました。管理人にとっては1年半
振りにする仕事なので、時間に追い捲くられていい加減な作品にはしたくありませんでした。内心では
ほとんど引き受けるつもりは無かったのです。そして1話目のネームの打ち合わせを行い次回もう1度
直したものをファックスすることになりました。そして週明けに2度目の打ち合わせとなりました。 

打ち合わせの店に行くとM岡さんが正に頼み込む様な雰囲気で話出しました「編集長が今回のネームを
見て『これならすぐ行ける。12号から決定だ!』と言ってもう台割にもスペースを空けてあります。
どうかお願いします。描いて下さい」。さすがに管理人も驚きました。編集長が変わると随分と変わる
ものだなぁ、と思いました。こうして1話目のネームがまだ完全で無いままに『屋台シェフ里一郎』は
短期集中連載が決定したのでした。もちろん1ページのストックも無しに、しかも1話目の〆切りまで
3週間しかありませんでした。管理人にとって過去に経験したことの無いギリギリのスタートでした。

1話目で気にしていた『キャベツメンチ』をオムレツに戻すことについては、
全然問題に無くOKでした。管理人は考えたものです「だったら、最初から 
オムレツで行きゃ良かったのに……」こんな事は他にもたくさんありました。




(11)急に忙しい日々。

ここから先の出来事については管理人日記において毎日詳しく書いてきました。
この頃の主な1日のスケジュールをあらためて書いてみます。        

時間 主な行為(?) コメント
3:00〜4:00 起床 2:00に目が覚めた事もあった。 
起床とともにその日の体重を計る。 
コーヒーとプロティンバーを食べる。
4:00〜6:00 仕事 管理人が一人でやる仕事。下書き、 
ペン入れ等、アシスタントさんが来る
前に出来るだけやっておく作業。  
6:00〜9:00 朝食、雑用 朝食の用意、食事、後片付け等。  
仕事が前日からの徹夜で無い時は、 
奥様を職場まで送る。       
10:00〜12:00 トレーニング 徹夜明けの月曜日は時間が違うが、 
週に4回くらいはジムに通った。  
MRPをトレーニング前後に飲んだ。
12:00〜13:00 昼食、雑用 時間が無いのでプロティン入り牛乳と
和菓子等で済ます。30分〜15分の
昼寝をよりどころとして楽しんだ。 
14:00〜21:00 仕事 アシさん達が来て作画の仕事。木曜日
以外は毎日仕事をした。18:00頃
アシさん達は出前の夕食をとる。  
21:30〜22:00 夕食、打ち合わせ 奥様と二人で遅めの食事。主に納豆や
ツナ缶と味噌汁にご飯。担当さんとの
打ち合わせもこの時間帯に多かった。
24:00〜1:00 日記、就寝 お風呂に入ってからその日の日記を 
HPにアップした。週に1回は仕事が
終わらず朝まで徹夜する事があった。


とにかくほぼ1日中眠かった。もちろんトレーニングしなければもう少し楽だった
かも知れなかったが、現在の管理人の筋肉の維持の為には週4回のトレーニングは
最低限必要だった。それにボディビルは管理人の唯一の趣味なので精神を穏やかに
保つ為にも休む気にはなれなかった。しかし、脚のトレーニングをした後の仕事は
異常に眠くて、よく夕食時に1時間だけ仮眠をしたものだ。          

食事においてはコンテスト用のダイエットに入っていた事もあり、かなり片寄った
物となった。さらに固形物の食事をとると眠くなるので、仕事中は16:00頃に
MRPを飲み、19:00頃にプロティンバーかプロティン入り牛乳を飲むことに
した。おかげであまり眠くならず、かつ減量もそれなりにスムーズに進んだ。  

かつて週間連載でウキョウを描いていた時は、アシさん達を最大6人入れて仕事を
したものだが今回は最大4人にした。理由はウキョウでは管理人のペン入れがまだ
進んでいなくても先に麻雀牌を描いてもらうことが出来たが、今回の料理漫画では
それができなかった事や、管理人が一人のアシさんに指示を与えている間に仕事が
終わって手持ち無沙汰になるアシさんをなるべく減らすため、等があげられるが、
部屋にパソコンを入れた為に人を入れるスペースが無くなったのも理由である。 



(12)なんとか間に合った。

sato-1 『屋台シェフ里一郎』

この絵は12号の表紙に使われたカラーイラストです。
さて、前述しましたが今回の料理漫画はもとのタイトル
は『ビストロ屋台』でした。そして主人公の名前も実は
佐藤一郎というありふれた名前でした。管理人は読切り
作品だし単純でわかりやすいだろうと考えてこの名前を
付けました。『◯カベン』の主人公だってわかりやすい
名前ですからね。                 

しかし、いよいよ第1話目が完成する間際になって突然
M岡さんが「タイトルを変えてくれないか?」と言った
のでした。なんでも似た様なタイトルの物があるそうで
盗作とは思われたく無いので急きょ変更となりました。
しかしいきなり言われてもすぐに新しいタイトルを思い
付くものではありません。M岡さんと二人してコーヒー
2杯だけ頼んだお店で1時間程考えました。     

そこでひねり出してきたのが『屋台シェフ』という妙な
ネーミングです。これなら一言で屋台だけれどラーメン
じゃないとわかるし、シェフだから洋食っぽい、しかも
誰も考えないような変な名前だ、ということでM岡さん
的にはOKが出ました。管理人は『屋台シェフ一郎』で
良いかなと思いましたが、M岡さんは主人公の名前にも
納得していませんでした。             

さらにコーヒーをお代わりして考えました。管理人は朝
2時から起きて仕事を続けていて、この時はすでに午後
11時でした。もう思考は停止に近かったと思います。
「佐藤から“う”を取って里っていうのはどうかな?」
管理人の苦し紛れのこの一言にM岡さんは「さと……、
里一郎ですか。良いですね、それで行きましょう!!」
と言うことになり主人公の名前は『里一郎』に決まり、
漫画のタイトルも『屋台シェフ里一郎』になりました。

後日、知り合いがこの漫画を読んで一言言いました。 
「今度の漫画の主人公は変わった名前だね、え〜と、 
りいちろう
だったっけ……?」この一言で管理人は、自分の思考が
停止していた時に付けたとは言え主人公に謝りました。

ということで、第1話目から〆切りギリギリでスタートした『屋台シェフ里一郎』は
その後も毎回毎回、様々なアクシデントが付きまとうなか何とか最終回まで辿り着く
事が出来ました。何とか間に合ったのは1話目と2話目こそ大きな手直し、というか
余分な処をカットしたものの、後半の4話はもとのネームをほとんどそのまま生かす
ことが出来たからです。これも前担当のY山さんとI代理とFさんが何度もネームを
チェックしてくれたおかげでしょう。皆さんに感謝します。どうも有難う。    



(13)最後に一言。

しかし今回の新作というか描き終えたので既に旧作となった『屋台シェフ里一郎』は
やはり管理人にとって新たに勉強になる作品であった。今までと違う初めての体験と
しては、なんと言っても監修にフードコーディネーターと言うその道の専門家の人が
ついた事である。今まで麻雀、ゴルフ、実録もの、戦記もの、鍵職人もの等の漫画を
描いて10年以上経つが、そのほとんどが担当の編集さんと二人で考えた物ばかりで
あった。管理人の漫画は基本的にはその専門分野では無い人間が読んでもわかり易い
ことが特長だと思ってきた。そこで今回の料理漫画も、もともとは担当さんと二人で
「料理漫画を描けば取材と言うことで美味しいモノが食べられるかな?」という軽い
ノリで読切り作品として考えたものであった。しかしフードコーディネーターさんが
ついたことにより随分と作品のノリというかテーマが変わるのを実感したものです。

当初は料理好きでちょっと大人をからかう様な少年の主人公が、大人の汚いやり方に
腹を立てて、料理勝負でアイディアを生かして大人をやり込める、という単純明解な
話だった物が6話(最大8話)にまで膨らんだのは、ほとんどが料理の“うんちく”
を入れた所為である。正直言って管理人はうんちく料理漫画にはうんざりしていた。
だから自分がこの漫画を描く時には少なくともうんちく料理漫画にはしないつもりで
いた。しかし完成した物は恐らくどう見てもうんちく料理漫画である。そして読んだ
人の感想でも料理が美味しそうだ、とか情報量が凄いという料理のうんちくに対する
評価ばかりである。対戦相手に感情移入してしまって主人公の気持ちが解らなかった
という意見もあった。まさにその通りの内容の漫画になってしまったのだ。    

管理人はどんなジャンルのものでも漫画にして行きたいと考えているが、自分なりの
考えとして『“人間”を描いて行きたい!!』と言う物がある。この“人間”と言う
のは生物学上のヒトという意味では無く『作品の中に出て来る生きたキャラクター』
と言う意味である。この“人間”さえ描くことが出来れば、自ずとストーリーは展開
されて行く物である。これは今までの漫画家生活で学んだことである。にも関わらず
管理人は今回の『屋台シェフ里一郎』において主人公である里一郎を“人間”として
描き切れなかった。すべてにおいて『料理のうんちく』に支配されてしまったのだ。

これは管理人が初めて専門家が監修に付いたことにより、料理の部分はほとんどその
人に任せてしまった事が原因だと言えよう。今にして思えば大量に料理のうんちくを
盛り込まれようとした時にもっと激しく反対すべきだったかも知れない。自分の描き
たかったはずの“人間”がどんどん希薄になってしまう事は解っていたのに……。 


最後にここまで読んでくれた人に感謝しつつ、今後も管理人は仕事として漫画を描き
続けて行くつもりですが、自分の考えである“人間”を描くというポリシーを出来る
だけ貫いて行きたいと思います。ひょっとしたら今回の作品『屋台シェフ里一郎』を
とても気に入ってくれた人もいるかも知れませんが、管理人としてはもっと面白くて
感動を人に与えることの出来る作品を描く為のステップだと考えています。管理人の
次回の仕事が何時になるかは解りませんが、その時までお待ち下さい。      


ご拝読どうも有難うございました。



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